なぜそうなるか
ウォーターサーバーの水の「品名」は4つに分かれる——農林水産省のガイドラインは、原水と処理の違いで「ナチュラルウォーター」から「ボトルドウォーター」までを書き分けるとしていました
ウォーターサーバーを置くと、水は大きなボトルで届きます。届いたボトルの表示を、じっくり読んだことはあるでしょうか。
案内のチラシには「天然水」と書かれ、別の会社の案内には「RO水」と書かれている。比べようとしても、言葉がそろっていないので手が止まります。
契約の形や途中でやめたときの解約料は、前の記事で国民生活センターの発表から読みました。今回は、届く水そのものの話です。
ボトルに詰めた水は、法律の上では食品として扱われます。安全の基準を置いているのは食品衛生法で、水道水に当てはまる水道法とは別の法律です。
一方で、ラベルの「品名」の欄に何と書くかには、農林水産省の品質表示ガイドラインがあります。原水をどこから取り、どう処理したかで、使える品名が分かれる形です。
この記事では、東京都水道局の「ミネラルウォーター類」の頁と、日本ミネラルウォーター協会が掲載しているガイドラインの本文を、2026年9月27日の時点で読みました。どの水がおいしいか、体によいかは扱いません。
・ボトルの水は食品衛生法、水道水は水道法と、当てはまる法律が違う
・ガイドラインは、原水と処理の違いで品名を4つに書き分ける
・水道水を容器に詰めて売る場合は「ボトルドウォーター」に分かれる
・原材料名の欄には、「水」の後ろの括弧に原水の種類を書く
・「天然」「自然」の言葉を使えるのは、ナチュラルウォーターとナチュラルミネラルウォーターに限られる
ボトルの水には、どの法律が当てはまるの?
サーバーの水も、水道水と同じ決まりで管理されているの?
頁は、ミネラルウォーター類の定義から始まります。
食品衛生法では、ミネラルウォーター類を「水のみを原料とする清涼飲料水をいう。」としており、これには、二酸化炭素を注入したもの(炭酸)、カルシウム等を添加したものも含まれます。
続く一文が、水道水との違いです。
ミネラルウォーター類は食品衛生法が適用され、水道水は水道法が適用されます。
水質の決まりについても、1つの区別が示されています。
ミネラルウォーター類の規定には、製造基準と成分規格があり、水質の分析項目は、除菌・殺菌工程の有無によって異なります。
品名の4つは、何で分かれる?
「ナチュラルミネラルウォーター」と「ミネラルウォーター」は、同じもの?
東京都水道局の頁は、分類の出どころをこう書いています。
農林水産省が設定した品質表示ガイドラインでは、原水の採水場所や処理方法によって、ミネラルウォーター類を4種類に分けています。
ガイドラインの本文を開くと、最初の品名は「ナチュラルウォーター」でした。特定の水源から採水した地下水を原水にし、沈殿、濾過、加熱殺菌のほかの処理をしないものです。
そのうち、地層の無機塩類が溶け込んだ地下水を原水にしたものは、「ナチュラルミネラルウォーター」と書くことができます。
3つめの品名は、ナチュラルミネラルウォーターに手を加えたものです。
ナチュラルミネラルウォーターを原水とし、品質を安定させる目的等のためにミネラルの調整、ばっ気、複数の水源から採水したナチュラルミネラルウォーターの混合等が行われているものにあっては、「ミネラルウォーター」と記載すること。
残りは、1つの項目にまとめられています。
ナチュラルウォーター、ナチュラルミネラルウォーター及びミネラルウォーター以外のものにあっては、「飲用水」又は「ボトルドウォーター」と記載すること。
水道水を詰めた水は、どこに入る?
東京都水道局の頁には、水道水についての一文がありました。
水道水を容器につめて販売する場合は、「ボトルドウォーター」に分類されて、食品衛生法が適用されます。
頁の表では、ボトルドウォーターの原水として、水道水のほかに蒸留水や河川の表流水などが挙がっていました。
ラベルのどこを見ればいい?
品名のほかに、ラベルで分かることはある?
ガイドラインが一括して表示するとしている事項は、品名、原材料名、内容量、賞味期限、保存方法、採水地、使用上の注意、使用方法、製造者等の9つです。飲用水とボトルドウォーターは、このうち採水地を除きます。
原材料名の書き方は、次のとおりです。
「水」と記載し、水の次に括弧を付して、原水(鉱水・鉱泉水・湧水・温泉水・浅井戸水・水道水等)の種類を記載すること。
当方の読みでは、品名が同じ「ボトルドウォーター」でも、括弧の中を見れば原水の違いが分かります。
殺菌も除菌もしていないものには、その旨を書く決まりもありました。炭酸ガスの圧力が一定より低いものに限った項目で、ガイドラインは「その他の表示事項」に置いています。
使ってはいけない言葉
ガイドラインには、表示してはならない事項が4つ並びます。その1つめがこれです。
医薬品的な効能効果を表示し、又は暗示する用語
2つめは、「天然」「自然」という言葉の扱いです。
ナチュラルウォーター、ナチュラルミネラルウオーター以外のものに対する「自然」、「天然」の用語及びこれに類似する用語
案内に「天然水」とあるのに、ラベルの品名がボトルドウォーターだった。そんな組み合わせを見かけたら、表示の欄のほうを読み比べる手がかりになります。
よくある質問
サーバーの水にも、このガイドラインが当てはまりますか
ガイドラインの適用範囲は、飲用に適した地下水等を容器に詰めたもので、炭酸飲料は除かれています。サーバー用の大きなボトルを別に扱う文は、読んだ本文にはありませんでした。当てはまるかどうかは、この記事では判断していません。
「RO水」は、4つのうちどれですか
読んだ2つの資料には、「RO水」という言葉が出てきませんでした。どの品名で売られているかは、その水のラベルの品名の欄で確かめてください。
ボトルドウォーターは、ほかの3つより劣るのですか
ガイドラインが決めているのは、原水と処理に応じた品名の書き分けでした。品質の上下を定めた文は、読んだ範囲にはありません。安全の基準は、東京都水道局の頁のとおり食品衛生法の規格基準が置いています。
この整理が変わる条件
- 農林水産省のガイドラインや、食品衛生法の規格基準が改められた場合(本記事は2026年9月27日に読んだもの。ガイドラインの本文は、平成2年に制定され平成7年に改正されたものとして掲載されていました)
- 東京都水道局が、頁の説明を改めた場合
- 炭酸飲料の日本農林規格に当たる炭酸飲料を見るとき(ガイドラインの適用範囲から除かれています)
・ボトルの水は食品衛生法、水道水は水道法が当てはまる
・品名は、原水と処理の違いで4つに書き分ける
・水道水を詰めた水は「ボトルドウォーター」に分かれる
・原材料名の括弧の中に、原水の種類が書かれる
・「天然」「自然」は、ナチュラルウォーターとナチュラルミネラルウォーターにしか使えない
出典
- 東京都水道局「ミネラルウォーター類」(水質に関するトピック) https://www.waterworks.metro.tokyo.lg.jp/suigen/topic/12
- 農林水産省「ミネラルウォーター類(容器入り飲用水)の品質表示ガイドライン」(平成2年3月30日制定・平成7年2月17日改正。日本ミネラルウォーター協会が掲載している本文) https://minekyo.net/files/libs/344/201809201037324902.pdf
届く水を選ぶ前に、ボトルの品名と原材料名の括弧の中を見比べてください。
当方が上の出典を引いて確かめた日: